第5文型の種類 〜 see 型 〜

   ここで使われる動詞はsee, hear, feel などの「知覚動詞」と呼ばれる動詞です。
これらの動詞は大変特別な使い方をしますので、極めて重要です。
例文で示しましょう。
  
I saw him enter the room.
(私は彼が部屋に入るのを見た。)
  
中心的 S+V は I sawですが、もう一つの S+V は「彼が入る」という部分です。ところが、ここに重大なルールがあって、him enter の enter なのですが、これが実は、
 
動詞の原形
 
なのです。
  このことは大変特殊なルールと言わなければなりません。
  英語の動詞は、動詞の時間によって(現在であるとか過去であるとか)また主語の人称(3人称単数であるとか、複数であるとか)によって形が変化することが多いのですが、この文においては動詞を「原形」で使わなければなりません。
動詞の動作を行う人の形とか、時制とかに関係なく動詞の原形を使わなければならないケースは英語全体でもわずかしかありません。
その代表的なケースは以下の3つです。
  
@ 命令文 Open the door.(ドアを開けてください。)
A 助動詞の後 He can swim very fast.
B 祈願文 God bless you! (神があなたを祝福しますように−−神は3人称単数ですが動詞に原形を使います。)
  
  そして、上記の三つのケースに匹敵するくらい特殊な文型として今回の「知覚動詞」や、(後で触れますが)「使役動詞」の文における「動詞の原形」があります。
  練習してみましょう。
 
「彼女は、彼がその歌を歌うのを聴いた。」
 
はどう表現すればいいでしょうか。
 
まず、「彼女が聴いた」という S+V これは She listened でいいでしょう。
次に、「彼がその歌を歌う」の部分ですが、これは him sing the song ということで listen の後ですから  sing を原形で表す必要があります。
ところで「聴く」は listen でよいのですが、「〜を聴く」という風に対象がある場合にはto が必要です。
そこで文全体は、
  
She listened to him sing the song.
  
となります。
  この知覚動詞の文については指摘すべき重要なポイントがもう2つあります。
  一つは、この文を受動態にするとき、「原形」であったものを 「to原形」にしなければならない、ということです。
I saw him enter the room.(私は彼が部屋に入るのを見た。)
で確認してみましょう。
この文を受動態にするとき、まず何を受動態の主語にするのかを考えますが、それは「能動態の文の目的語を主語に」という考え方を基本にしてください。この文型は5文型であるということでここで紹介しているのですが、文の要素を確認すると、
[ I ]  = S
[ saw ] = V
[ him ] = O
[ enter the room ] = C
となります。文全体の目的語は him です。(ここで the room と間違えないようにしましょう。)
そこで He を受動態の主語にして、
He was seen
で始まる受動態の文を作ります。で、その時、もともとの文で使われていた enter the room という補語の部分ですが、これがなんと受動態では to enter the roomとならなければいけないのです。で結局、
He was seen to enter the room by me.(彼は部屋に入るところを私に見られた。)ということになります。
なぜ受動態の場合に to がつくのかよくわからないのですが、とにかく不思議な、面倒なルールですね。
では、知覚動詞の文について指摘すべきもう一つのポイントに移ります
。 それは、O + C の C は状況に応じて原形ではないことがある、ということです。
例えば、 I saw him entering the room.
という状況の場合があります。ここでは--ingが使われています。
その場合、
I saw him entering the room.
と何が違うのかと言えば、それは、
He entered the room.と、
He was entering the room.
との違いと同じです。つまり-ingを使っている場合は、「彼が入っているところを見た。」という意味になり、彼が部屋に入るという動作が進行中である、その一瞬を見た、ということになります。
それに対して原形を使っている方は、「彼が部屋に入るのを見た。」ということですが、-ingとの違いを明らかにするために細かく言えば、部屋に入るという行為の初めから終わりまでを見たということになります。
「知覚動詞」は原形不定詞が使われる特殊な文型になる言っても、それは「知覚動詞」だから常にそうなるという意味ではなく、O とC の関係次第では進行の形もあるということなので、そこのところは柔軟に受け止めておいてください。

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