過去完了時制 ~大過去の用法~
2つの過去の出来事があったとします。その2つの出来事を起こった順序通りに述べる場合にはどちらも過去形を使います。例えば、父が時計を買ってくれて、それを私が翌日に早速なくしてしまったというようなことを述べるとしましょう。普通は以下のように表すことができます。
(1) My father bought me an expensive watch.
(父が私に高価な時計を買ってくれた。)
(2) I lost the watch in the train the next day.
(私はその時計を翌日電車の中でなくしてしまった。)
さて、その2つの出来事を実際の順番とは逆に書いてみましょう。つまり「時計をなくした」という文から先に書きます。
(2)' I lost a watch in the train.
続いて、その時計の由来、つまりそれは父からもらった時計であるということを書くとします。もしその文を、
(1)''My father bought me the expensive watch.
として過去形を使ってしまうと、過去形が2つ続くことになりますから、まるで父が時計を買ってくれたということが、時計をなくした後であったという意味なってしまいます。そこで、父が時計を買ってくれたことは、時計をなくす前であったということを明確にさせるために、ここで過去完了を用います。
(1)'My father had bought the expensive watch.
こうすることで、父が買ってくれたということが、なくしたということよりも古いということがはっきりするのです。
このような過去完了形の使い方を「大過去」と言いますが、この完了形には、完了形が本来持っている「完了」「結果」「経験」「継続」という意味はない、ということにご注意ください。
これらは、もし、出来事の順番通りに書いていたらただの過去形だったのです。
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