英文法の学び方

  もし、みなさんが普通科の高校に通っている生徒であれば「英文法」という科目名ではなくても英文法を扱っている授業があるのではないでしょうか。高校ではオーラルコミュニケーションという科目名を教えることが義務づけられているようですが、実態としてはその時間を利用して英文法を教えているところが多いようです。私が高校生だった30年くらい前は「英文法」という科目があったように記憶していますが、いつの頃からか文部科学省の政策で、文法重視ではいけないということでオーラルコミュニケーションという会話の科目を実施するようになったのですが、高校の実態としては、会話の練習は半分かそれ以下に抑えて、残りは英文法の学習に充てているようです。
ほとんどの高校生の英語学習の最大にして最強のモチベーションがペーパーテストで実施される大学入試での合格である以上、読解や作文の力を鍛えるために文法に時間を割くというのは私もやむを得ないと思います。
  ただ、正式には文法という授業は存在しないことになっているので、文部科学省認定の「英文法」の教科書は存在しません。それに代わる文法教材を使っているようです。
高校で使われている文法の教材について見てみると昔とあまり変わったところはなく、「文の種類」から始まる単元別に文法を学ぶことになっているようです。
  さて、文法の学び方ですが、現役の高校生でいわゆる進学校であれば、学校で購入する文法教材を中心に勉強することが最も自然でしょう。もし進学校ではない場合には、書店で売られている次のような文法書を一つ購入し、その本を中心に勉強するとよいと思います。
   1 総合英語Forest 6th edition
   2 ブレイクスルー総合英語 改訂版
  以上の本は、私の塾に来る生徒の高校の授業で実際に用いられている参考書です。学校の授業では、その参考書の内容をコンパクトにまとめた解説と関連の問題が見開きの左右に並んでいるような薄めの冊子を使っており、その「まとめと問題」集を教科書代わりに使っているようです。
  学校で使われる「まとめと問題」集は一般には売っていない場合が多いようですが、桐原書店のForestについては書店でも次の「まとめと問題」集を購入することができます。
   Forest 6th edition 解いてトレーニング (総合英語Forest)
   以上の参考書は、説明をなるべく簡明にしようという意図で作られているようですが、もう少し詳しく英文法について書かれている参考書としては以下のようなものがあります。
  新マスター英文法   聖文新社
「新マスター英文法」よりも前に出版された、やはり「やや詳しい」文法書に、
  ロイヤル英文法―徹底例解
という本があります。 「新マスター英文法」と「ロイヤル英文法」とどちらがいいか、という点ですが、個人的には「新マスター英文法」の方が気にいっています。私がそう感じる最大の理由は、マスター英文法は一人の著者によって書かれているという点です。
ロイヤル英文法は数人の学者の皆さんが手分けして書かれています。ですから、どうしてもまとめる視点や文体に統一感に欠ける部分があると感じられます。マスター英文法の方は中原道喜さんという某有名中高一貫校で教鞭をとられていた方が執筆されており、精緻、簡潔にして明瞭な解説が一定のリズムでこの書物に展開されています。
英語を指導していて、「あれどうだったかな?」「どう説明すればよかったかな?」という疑問に答えてくれるのは圧倒的に「マスター英文法」の方です。
上記以外に昔から定評のある文法書として、
    英文法解説(金子書房)
というものも有名です。この本の初版は、「はしがき」によりますと1953年とあり、ざっと半世紀以上も経っているのですが、内容はまったく色褪せておらず、今でも読み応えが感じられます。
この本は、江川泰一郎(えがわたいいちろう)というお一人の先生によって書かれていますが、解説の端々に江川先生の個性的な私見がうかがわれ、興味深い内容となっています。