名詞的用法 (2)

目的語の働きをする不定詞

動詞の直後にto不定詞が来て、その動詞の目的語になる形があります。
  I want to go to Italy some day
. (いつかイタリアに行きたい。)
 
  下線部 to go to Italy some day だけを無理矢理に日本語にすると「いつかイタリアに行くこと」というふうに理解できるので、その部分が動詞 want の目的語になっていると考えます。
実際の日本語訳としては「〜すること」とはせず、want to 〜という形で「〜したい」と訳す方が普通です。
  He decided not to go to the country again
.     (彼は二度とその国には行かないことを決意した。)
  のように不定詞部分 not to go to the country again は「〜すること」と訳せる場合もあります。(たまたまです。)
 

形式目的語の it

  形式主語の it というものを前ページで解説しました。
  今回は形式目的語の it です。形式主語より少し扱いにくいかもしれませんが土台となる考え方は同じですので我慢して聞いてください(あ、「読んで」です)。
  さて、目的語というと第3文型(SVO)のOもありますが、第5文型(SVOC)にもOがあります。形式目的語が関わるのは第5文型の文だけです。
  まずは単純な5文型の文を示します。
  I found the book easy.
この文は、
    (私はその本が簡単だとわかった。)
という意味ですね。(「簡単な本を見つけた」と誤解されたあなた、ぜひもう一度「第5文型」のおさらいをされてください。「簡単な本を見つけた」は I found an easy book.という第3文型の文です。)
  さて、「私はその本が簡単だとわかった」という文の「その本」のところを「その本を理解すること」と入れ替えたらどうなるでしょうか。
日本語は(私はその本を理解することが簡単だとわかった。)
となりますが、それを英語で言うとどうなるのでしょう?
そのことを、
I found the book easy.
から考えてみますと、この英文のthe book の部分が「その本を理解すること」となるわけですね。
「〜すること」ですから不定詞か動名詞を使うことになりますが、「特定のことは不定詞が好まれる」ので不定詞で表して to understand the book とします。
この to understand the book が「その本を理解すること」です。 次にそれを元の文の the book のところに置きます。
すると、
I found to understand the book easy.
  となりますが、なんだか変だと感じませんか。(感じないかもしれませんがとりあえず話を進めるために「なんだか変だ」と思ったということにさせてください。) 実はこの文は文法的には間違った文なんです。
  なぜか。
  形式主語では「主語が長い感じがする場合に主語を it で置き換える」と解説しましたが、第5文型においては 「O と C」 の関係が「主語と述語」の関係になるので、O の部分が C より長い場合に(といってもto不定詞で表すのでほとんどの場合長いのでほぼ必ず起きるのです)O が形式目的語にいったん置きかわるのです。
  例文の場合、to understand the book の部分を形式目的語の it に置き換え to 以下を後ろに回します。
そこで、
    I found it easy to understand the book.
として出来上がりです。
  形式主語でto不定詞をitで置き換えた発想と、第5文型(SVOC) の文で O をit で置きかえる発想が同じであることを理解していただけたでしょうか。(「わかったよ〜」っていう声が聞こえます・・・・。)

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