第3文型(S+V+O)
基 本
第3文型は4つの文の要素のうち、「主語」+「動詞」+「目的語」となっているものをいいます。
例えばこんな文です。
I eat an apple every morning.(私は毎朝リンゴを食べる。)
この場合、eatという動詞の後のappleは、eatという動詞の動作を受ける役割をしています。このように動詞の後にあって「動詞の動作を受けるもの」が目的語です。「動詞の動作の対象」とも言ったりもします。
He knows everything.(彼は全てを知っている。)
では、動作「知っている」の対象はeverythingなのでeverythingが目的語です。
She always makes a precise plan.(彼女はいつも緻密な計画を立てる。)
では、planが目的語です。(目的語を大ざっぱに解釈すればa precise planとすることもできます。)
目的語は文の中での「機能」を指す用語ですから、ただの語句に限定されるということではなく、「動詞の動作の対象」となっている部分が「文」のような形になっている場合もあります。例えば次のような文です。
He knows that I am busy.(彼は私が忙しいということを知っている。)
この文ではS+Vが2組入っています。しかし、「文の要素」であるS+VはHeとknowsです。that以下は「知っている」という動作の対象となっていて、こういう場合はthat I am busyが目的語となっている、と言います。「that節(せつ)が目的語だ」とも言います。目的語という表現は一つの単語ということではなく、文中で動作の対象になっている部分(それがどんなに長くなっても)に付けられている名称です。
[ He ] [ knows ] [ that I am busy ] .
[ He ] = S
[ knows ] = V
[ that I am busy ] = O
ということですね。
目的語は名詞
目的語の特徴として重要なものに、目的語は名詞であるということが挙げられます。第2文型における補語は形容詞や副詞が主なもので、補語になる部分の品詞は特定されませんが、目的語は基本的に名詞である、という特定ができます。
I eat an apple.
のan apple、
He knows everything.
のeverythingなどのように「動詞の動作の対象」には常に名詞が来ます。
では、
He knows that I am busy.
ではどうでしょうか。
この文ではthat I am busyが目的語なのですが、これを「私が忙しいというコト」という名詞のカタマリと見なします。主語や動詞を含んでいても、「~であるコト」「~というコト」とか「~するコト」というふうにまとめられるものも「名詞」とみなすのです。(あるいは「名詞の働きをする」などと言います。)
She didin't know what to do.(彼女は何をしたらよいかわからなかった。)
という文ではwhat to doが、「何をしたらよいかというコト」というふうにまとめることができ、knowの目的語になっています。
目的語は名詞または名詞に相当する表現ということになります。
したがって、全体をまとめると以下のようになります。
第3文型まで来て、少しややこしくなってきたかもしれません。文型の判断においてよく誤解される点について触れておきましょう。
「目的語は動詞の動作の対象である」と聞いて、
She lives in Tokyo.
の「in Tokyoがlivesという動作の対象だからin TokyoやTokyoが目的語である」と考えてしまう人がいます。しかし、「動作の対象」というのは、動作から直接的に何らかの働きかけを受けているもの、ということを意味します。(あるいは動詞の行為の結果生み出された名詞ということもありますが。)liveという動詞は「住んでいる」という意味なので、その行為自体が他へ働きかけるということはありません。「東京」が「彼女が住むこと」によって何かの働きかけを受けているわけではありません。
こういう場合のin Tokyo は目的語ではなく、liveがどこで起こっているかを示していると考えます。動詞を修飾しているので、「修飾語」(M)ということになります。
また別の例としては、
She turned right at the corner.(彼女は角を右に曲がった)
という文において、「rightはturnedのすぐあとにあるからturnedの目的語だ」と勘違いする場合があります。この場合、rightは名詞ではなく「右に」という副詞です。また動詞「曲がる」も、何かに対して働きかけるというわけではありません。「~を曲げる」なら別ですが。
他動詞と自動詞
動詞が目的語をとっている場合に、その動詞は「他動詞として使われている」などと言います。先の例文についていうと、「eat an appleのeatは他動詞として使われている」というふうに言います。反対に目的語をとっていない場合、その動詞は「自動詞として使われている」といいます。I live in Tokyo.のliveがその例です。ここでちょっと注意して頂きたいのは、動詞が他動詞か自動詞かは、その文中での使われ方によるものであって、初めから「eatは他動詞である」と決まっているというわけではない、ということです。基本的にはほとんどの動詞は自動詞にも他動詞にも使える、というふうに理解しておいてください。ほとんどが2つの役割をこなせるのですが、その中で時々不器用なやつがいて、他動詞か自動詞かのどちらかでしか仕事ができないものがいる、という感じです。
さて、「主語+動詞」が英語の語順の基本であり、動詞が目的語(その品詞は常に名詞でしたね)をとる場合、その動詞は他動詞である、ということを確認しましたが、そうすると、他動詞の文の形は、「主語+動詞+目的語」となります。これを品詞で言い換えると「主語」も必ず名詞ですから、「名詞+動詞+名詞」となります。
これは私の「勘」ですが(そして私はあまり勘の良い方ではありませんが)、英語の文の中で最も多いパターンがこの「名詞+動詞+名詞」ではないでしょうか。私の勘に多少なりとも根拠があるとすると、そもそも人間を初めとする生き物は外界に対して常に何らかの働きかけを行っている(何も働きかけをしていない生き物を想像することは難しいと思います)ので、「働きかける主体+動作+働きかけられる客体」という言い方を最も頻繁に作るのではないか、ということが挙げられます。
ま、それが一番多いかどうかは別として、英文で「名詞+動詞+名詞」と並んでいるとそれは他動詞の文だという感覚がすることは確かです。
He watered the garden.
このwaterはedをとっていますから動詞として使われており、さらにthe gardenという名詞を直後にとっているのでthe gardenに働きかけている、というふうに理解される可能性が最も高いと考えられます。waterが動詞で「庭」に働きかける、というのは、つまり「庭に水をやった」ということです。
次の二つの文を比べてください。
(A) She runs in the hotel.
(B) She runs the hotel.
(A)は「彼女はホテルで走る」ということで問題ないかと思います(どんな状況なのかは謎ですが)。しかし、(B)についてはrunsという動詞のすぐあとに名詞が来ている形ですから、その場合、runsがthe hotelに働きかけているという意味関係が発生します。runの意味がそうだ、というより動詞の後に名詞を続けているという語順がそのような意味を発生させるということです。そこで、通常runは「走る」という意味ですが、この文においては「~を走らせる」という意味となります。「ホテルを走らせる」というのは、ホテルの経営が破綻して倒産しないように前へ進ませるというような意味です。よって他動詞としてのrunは「~を経営する」という意味を持つ、ということになります。
(B)「彼女はそのホテルを経営している。」
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