英語理解の鍵となる3品詞    ~実践編~

   3品詞を使って実際の英文解釈をしてみましょう。
  分析結果ががわかりやすくなるように、文の要素( S、V、O、C)と修飾語(M)のそれぞれに、次のような背景色を指定することにします。
 
主語(S) ・ 述語動詞(V)  ・ 目的語(O) ・ 補語(C) ・ 修飾語(M)

 次に3つの品詞についてですが、これにはそれぞれのカッコを用いることとします。
名詞の働きをする部分には、〔    〕というカッコ。四角カッコ。
形容詞の働きをするには、<  >。とんがりカッコ。
副詞の働きをする部分には(  )。まるカッコ。
  
では具体的な文で解説しましょう。
  
  There was a man who worked all of his life and saved all of his money.
 
という文の意味を正しく理解してみましょう。
まず初めに文の要素と修飾語によって分析します。
まず主語ですが、この文の特徴として、There is ~ 構文であるということが挙げられます。There is~ 構文は「~がある」という意味を表す文で、主語は「存在している物や人」であってThereではありません。この文は「一人の男がいた」という文ですからa manですね。S = a man。
次に動詞ですが、文の要素の動詞(述語動詞)は文中に1つしかありませんから、この文では主語のa manが「いた」という意味の言葉、つまり was が文の唯一の動詞です。V = a man
そこで色分けをしてみますと、
  
There was a man who worked all of his life and saved all of his money.
  
ということになります。
続いて他の要素、つまりOとCはどうなっているか、ということですが、これは知っておかなければならないルールですが、there is ~ の文は常にS+Vという第一文型になります。ということは、SとV以外の部分は全て修飾語ということになります。
従って全体の色分けは以下のようになります。
  
There was a man who worked all of his life and saved all of his money.
  
これで文の要素による分析は完了です。
  
さて、「男がいた」という「主語」と「動詞」の部分は、意味も明確になっているのですが、修飾語の部分も、意味をはっきりさせなければなりません。その際に行うのが、 3つの品詞による分析です。
まず初め、thereについてですが、there is ~構文のthereは、語源的には意味があったのかも知れませんが、現在では「そこに」という意味はありません。場所についての情報は文の後半に置くのが普通です。意味がありませんから記号も何もつけないこととします。
つぎに、who以下です。ここではwhoという言葉の働きについての文法的知識が必要です。詳しくは「関係代名詞」の項目で学習するとして、ここでは簡単に「関係代名詞とは先行詞にあたる名詞を修飾する節を導く」ということにしておきます。
この文では先行詞にあたる言葉はa manで、who以下はa manを修飾しています。
a manは名詞ですから、関係代名詞の導く節は名詞を修飾することとなり、従って「形容詞」の働きをしていることになります。
そこで形容詞の記号< >を当てはめると、
There was a man <who worked all of his life and saved all of his money>.
となります。
「< >な男がいた」という意味になるのですね。
さらに、問題なのは、これがとても大切なところなのですが、修飾部分である<who ---- money>の中にもSVが存在しているということです。
文の要素であるSVOCは文の中に1組しかありませんが、文の要素以外つまり修飾語の中にも別の次元のSVOCが存在し、文の要素のSVOCと、それ以外のSVOCが重なりあって、全体的な意味の厚みを作りあげているのです。
 
<who worked all of his life and saved all of his money>
 
の部分についても、最初と同じようにSVOCによる分析を行います。
 
この部分にもS、V、O、Cがあるのですが、ここでの表示方法は文の要素のSVOCとは区別しましょう。まず文の要素以外のSVOCをそれぞれS',V',O',C'としてダッシュをつけることとします。また英文中の表記としては、
 
主語(S')述語動詞(V')目的語(O')補語(C')
 
とします。
 
それでは< >内の要素分析ですが、まずwhoは主格の関係代名詞ですので、workedの主語であると考えられます。workedがwhoの動詞ですから、
 
who worked all of his life and saved all of his money>
 
ということになります。さらによく見るとsavedという言葉がありますが、これも「貯めた」という意味ですからwhoを主語とする動詞とみなすことができますので、
 
who worked all of his life and saved all of his money>
 
という具合に記号付けができます。
では残りの部分ですが、まずall of his lifeは「彼の人生の全て」とありますが、これは時間について言っている表現です。「昨日」とか「さっき」などと同じで、副詞と考えられます。またall of his moneyですが、これは「持っているお金全て」ということで、savedの目的語と理解できます。したがって、
 
who worked(all of his life) and saved all of his money
 
という風に分析ができるのです。
 
では全体の記号付けをもう一度示してみましょう。
 
There was a man who worked(all of his life) and saved all of his money.
 
これで2つの手続きを全て記号に示すことができました。この文の表す意味は、主語のa manが動詞のwasをとり、そこが基本となります。
 
「男がいた。」
 
そして「男」という名詞を修飾する関係代名詞の節が「一生働いて、自分のお金を全て貯めた」という意味ですので、それを「男」にかかるように和訳をつなげて、
 
「一生働いて、自分のお金を全て貯めた男がいた。」
 
ということで和訳はできました。これをもう少し筋が通りやすいようにして、具体的にはhis moneyというのはここでは「働いて得たお金」ということでしょうから、
 
「一生働いて、働いて得たお金を全て貯めた男がいた。」
 
というくらいの微調整をすると完成です。
 

 

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