文型の多重性

   次の文を読んでください。
  
The fact is that they are very sick.
実は彼らはかなり病気なのです。
  
  ややこしい文ですね。しかし、この文が少しややこしく見えるのは、The fact is ~という部分が文のようになっているのに、that they are very sick という部分にも文らしきものがあるからです。
この場合、The fact(事実)が文全体の主語で、is が文全体の動詞です。
そして次に来るthat以下全体が、ひとカタマリとして補語の機能を果たしています。
この文をSとVとCの3つに大きく分けると次のようになります。
[ The fact ] [ is ] [ that they are very sick ] .
[ The fact ]  = S
[ is ] = V
[ that they are very sick ] = C
したがって文全体をS+V+Cの第2文型であると分類します。
文全体から見れば「補語」であるthat they are very sick の中にもS+V+Cがありますね。すなわち、
they / are / (very) sick
というS+V+Cです。
このSVCは文全体の文型には関係ありません。これは文の補語を形成しているS+V+Cで、いわば文の要素(ここでは「補語」)を作るための「部品」として機能しているにすぎません。
そしてここが英文理解のために大変に大切であり、だからこそ繰り返し述べているところなのですが、文の基礎的骨組みであるS+Vと、文型とは関係なく、部品にあたるようなS+Vとをはっきりと区別することが絶対に必要なのです。
この文では「はは~ん、文全体のSはThe factで、文全体の動詞はis。そしてthat以下のS+Vは補語を作っているのだね」と理解できないと文の意味はわかりません。
部品のS+Vまで含めると英文はSVを基本単位として成り立っており、英文を「読んで理解する」という行為は、それぞれのSVが文全体の土台となるSVなのか、文全体の土台ではなく、土台を修飾したり、土台の部品を構成するSVなのかを鋭く峻別し、部品のSVならそれが骨組みのS+Vにどう関わっているかを理解する、ということを基本作業として行えるということなのです。

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