Mayを使わない祈願文とは?
Mayを使わずに「主語+原形」という祈願文もあります。
これも神に対する祈願ということになるのでしょうか、実際の表現として多いのは、
God bless you!
(あなたに神の恩寵がありますように!)
というものではないでしょうか。
私たちがTVなどでよく耳にするものとしては第二のアメリカ国歌とも言われる God bless Americaの中に同様の表現があります。
God bless America,
Land that I love,
Stand beside her and guide her
Thru the night with a light from above;
From the mountains, to the prairies,
To the oceans white with foam,
God bless America,
My home, sweet home.
God bless America,
My home, sweet home.
そして、偶然というか必然というか、ちょっと驚くのは「ホワイト・クリスマス」と「ゴッド・ブレス・アメリカ」はどちらもアーヴィング・バーリン(Irving Berlin)という人が作詞・作曲していることです。
さて、mayを使わない形を公式としてまとめると、
ということになりますね。左がそのまま右ですが・・・
さて、祈願文にも命令文にも共通するこの「原形」動詞の使用ですが、一つの理由としてはこの「○○であってほしい」という文に使われる動詞については「時間」の観念を話者があてはめてはいないということがあるのではないでしょうか。過去のことは過去形で、未来のことは未来形でというふうに、時系列を念頭に置いて話す場合には話者は時制を選択しているのですが、命令文や祈願文においてはその「時間」的なことが話者の一義的な関心ではないために、時間の感覚が抜けているということなので原形になる、というふうに考えることができる可能性があると思います。
また、もう一つの可能性としては、特に祈願文においては、「祈願」ということが、何らかのことが自分以外の者や存在(神的なもの)によって成就されることを期待するということだとすると、その自分以外の者、神的な存在は「私」でも「あなた」でも「彼」でもなく、それを超えた人知で指示しうる者ではない。従っていわゆる人称や時制を超えているために残された選択は動詞の原形、ということが考えられると思います。
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