受動態の難しさ
受動態の大原則として、
受動態とは能動態の文の目的語を主語にした文である。
というものがあります。ここでの「目的語」は「文の要素」としての目的語、文型を決定する目的語です。
ここに初心者にとっての難しさがあります。受動態を作るのに目的語が何であったかというところを忘れてしまうのです。
たとえば、
I asked him to repair the bike.
( 私は彼にその自転車を修理してもらうように頼んだ。 )
を受動態にしてみてください。
ここでもしあなたが、
The bike was ....
という文を考えたとしたら、あなたは受動態がちょっと苦手、というタイプだと考えられます。
なぜなら、この文では The bike を主語にした文はできないからです。
では、何を主語にするのかというと、それは、He です。
He was asked to repair the bike by me.
となります。
I asked him to repair the bike.
の文型を考えてみますと、
I が S 、 asked が V、 で him が O です。それに、to repair the bike という C が続いていて、結局この文は第5文型ということになります。
the bike は、文全体の目的語ではなく、補語に使われている repair という動詞がたまたま目的語をとっていてその目的語になっているに過ぎない、つまり repair は文全体から見れば、目的語ではなく補語の一部です。ですからそれを主語にした受動態はできません。
また、「彼は東京に住んでいる」の受動態はどうでしょうか。
「受動態は、『〜される』にするのだから、『東京は彼に住まれる』とすれば
いいんだ」と考える人もいるかもしれません。しかし
この文は受動態にはできませえん。なぜなら、「彼は東京に住んでいる」は、
He lives in Tokyo.
で、文型が S + V の第2文型であり、目的語 (O) が存在しないからです。
受動態を作るときは、まず何が文全体の目的語なのかを的確に把握することが大切です。
そういう意味では、文型をもう一度確認できる単元でもあるのです。
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